2015年12月7日月曜日

Raspberry Pi Zero シリーズで本書の演習は実行できるか

はじめに

2015年11月26日、Raspberry Piの新型であるRaspberry Pi Zeroが発表され、その価格が5ドルということでで大きな話題となりました。長らく海外のみでの販売でしたが、2017年2月に日本でも発売されることが報じられました。さらに、2017年2月28日にはWifiとBluetooth機能のついたRaspberry Pi Zero Wが発表されました。

このRaspberry Pi Zero シリーズで本書の演習を実行できるのか、本ページで解説したいと思います。まずはRaspberry Pi Zero シリーズについて整理してみましょう。下記のバージョンがあります。

製品名 海外での価格 特徴 販売店
Raspberry Pi Zero V1.2 5ドル カメラ利用不可・Wifi/Bluetoothなし 現在は入手困難
Raspberry Pi Zero V1.3 5ドル カメラ利用可(要専用ケーブル)・Wifi/Bluetoothなし KSYスイッチサイエンス
Raspberry Pi Zero W 10ドル カメラ利用可(要専用ケーブル)・Wifi/Bluetoothつき KSYスイッチサイエンス

下図において、左から、V1.2、V1.3、W です。V1.2にのみピンヘッダがついていますが、後述するようにこれは自分で半田づけしたものです。


結論を述べますと、Raspberry Pi Zero シリーズを使う場合、本書のようにRaspberry Piにディスプレイ、マウス、キーボードを接続して電子工作用のプログラムを書く、というような利用スタイルはあまり適していません。

それでは、どのような使用法に向いているでしょうか。本書の演習の例で言えば、キャタピラ式模型に搭載し、模型をコントロールするような用途(10章)に向いています。それにより、小型化、省電力化が図れる、というわけです。

これは、Raspberry Pi Zero シリーズに限らず、下図(右)のRaspberry Pi Model A+にも同じことが言えます。

Raspberry Pi Zero V1.2(左)とRaspberry Pi Model A+ (右)

それを理解した上で、敢えて本書のスタイルでRaspberry Pi Zeroを用いるとどうなるかを以下に簡単に記します。

接続方法

接続は下図のようになります(図はZero V1.2)。本書で主なターゲットとするRapsberry Pi Model B/B+/Raspberry Pi 2 Model B/Raspberry Pi 3 Model Bと異なり、以下の3つのものが必須となります。
  • HDMI(メス)-ミニHDMI(オス)変換アダプタ
  • USB OTGケーブル
  • Zero V1.2/V1.3の場合:USBハブ(ACアダプターつきのセルフパワータイプ)
    マウス、キーボード、Wifiアダプタなどを接続します。ACアダプターのないバスパワータイプを用いると、Wifiが不安定になり途中で接続が切れることがあります
  • Zero Wの場合:USBハブ(ACアダプターなしのバスパワータイプでOK)
    マウス、キーボードを接続します。Wifiデバイスは基板上に実装されているので、Wifiアダプタは不要です。

図を見てわかる通り、Rapsberry Pi Model B/B+/Raspberry Pi 2 Model B/Raspberry Pi 3 Model Bでは必要なかった物品が必要となり、Raspberry Pi Zeroの低価格性、省スペース性があまりいかされていませんね。これが、本書のスタイルでのRaspberry Pi Zeroの利用をお勧めできない理由です。

なお、上級者向けとなりますが、Raspberry Pi Zeroを用いるには、「ディスプレイ・マウス・キーボードを接続せずにRaspberry Piを利用する」で解説する方法が適しています。その場合、Wifiデバイスが基板上に実装されているZero Wが適しています。それにより、Raspberry Pi Zeroに接続するのは電源ケーブルのみとできるからです(セットアップ時にはディスプレイ等の接続が必要ですが)。

GPIO ポートの利用

さらに、Raspberry Pi Zero シリーズには、GPIOポートにピンがあらかじめ取りつけられていません(下図)。別途2x20のピンを購入し、自分ではんだ付けする必要があります。
例えば秋月電子通商さんのピンヘッダ 2×20 (40P)などです。


なお、このピンヘッダの半田づけが嫌だという場合、下記のようなテストワイヤをGPIO部の穴に差し込んで使うという方法もあります。ただし、これはあくまでテスト用であり、本書のように何度もGPIOを利用する場合、ピンヘッダを半田付けするのをお勧めします(何度も抜き差しすると接触が悪くなるためです)。

本書の演習の実行について

Raspberry Pi Zero V1.3/Wを用いて本書の演習を行う場合、注意が必要なのは下記となるでしょう。
  • 5.6 カメラのシャッターの演習:カメラモジュールを接続するための専用ケーブルが必要
  • 5.7 MP3ファイルの再生:オーディオジャックがないので、音声はHDMI経由のみでの出力となるでしょう
  • 6.5 音声のボリューム:同様に音声はHDMI経由のみとなるでしょう
  • 10.4 キャタピラ式模型へのカメラの搭載:カメラモジュールを接続するための専用ケーブルが必要
なお下図は、初期バージョンのRaspberry Pi Zero V1.2で、4章のLEDの点滅(Lチカ)を試しているところです。


おわりに

Raspberry Pi Zero シリーズで本書の演習が実行できるか、解説しました。使いはじめるまでにはんだづけが必要であったり、新たな物品を購入しなければならないなど、ハードルはやや高いと言えるでしょう。そのため、冒頭で紹介したような、キャタピラ式模型に搭載するような用途での利用には、Raspberry Pi Model A+を個人的にはお勧めします。

しかし、Raspberry Pi Zeroのサイズの小ささは、アイディア次第で面白く使えそうです。腕に覚えのある方はチャレンジしても良いかもしれません。